「ミニ ハリウッド」というネーミングに首をかしげてしまいますが、ここはアルメリアの中でも最も由緒あるオープンセットでしょう。
1960年代に入って、スペインのマドリッドに本拠を構えていた大手のスペクタクル映画制作会社が倒産してからというもの、
マドリッド近郊の山岳地帯で多くのスペイン製ウェスタンが制作されました。
初期のマカロニウェスタンの「赤い砂の決闘」「荒野の用心棒」もその中のひとつです。
このアルメリアのタベルナス砂漠の入り口に構える「ミニ ハリウッド」のオープンセットは
実はレオーネ監督がマドリッド郊外でロケして作った「荒野の用心棒」の後、新しいロケーションを求めてロケハンした結果、
「夕陽のガンマン」のために、その美術監督であったカルロ・シーミに建設させたものでした。
スペインの城砦然とした造りの「エル・パソ銀行」から、モーティマー大佐、モンコらが宿泊したホテルなどが
レオーネの指示通りに建設され、30年以上経過した現在でも、その原形を保っています。
1996年 ミニ ハリウッドの遠景
1999年 夏 / 「夕陽のガンマン」Per qualche dollaro in piu'
1996年 夏
建設中のエル・パソ銀行
Carlo Simi - l'Amerirue de Sergio Leone
より引用しました。
Carlo Simi
オホン、この町の設計者で美術監督のカルロ・シーミです。
エル・パソ銀行の頭取役で出演させてもらいました。
しかし、インディオにはやられたな。
Navajo joe さすらいのガンマン
イーストウッド扮するモンコ氏ご宿泊のホテルです。 Per qualche dollaro in piu'
左から、2001年のホテルの様子。向かって右側が正面になります。中央:カルロ・シーミによるホテルの青写真。右:「夕陽のガンマン」より。
中央の青写真は、Carlo Simi - l'Amerique de Sergio Leone より引用させていただきました。
1996年 夏 / 夕陽のガンマン Per qualche dollaro in piu
こちらは、ダグラス・モーティマー大佐ご宿泊のホテルです。
どういうセンスによるものかちょっと不安さえ感じる彩色ですが、左は1999年の写真です。
モンコ氏ご宿泊のホテルとは向かい合わせの位置関係にあります。(双眼鏡と望遠鏡で探り合ってたんですから当然ですね。)
この2本柱の建物は、他のマカロニウェスタンでもよく見られます。
1996年 夏 / 続・夕陽のガンマン Il buono, il brutto, il cattivo
ミニ・ハリウッドの東端の町外れに架かる朽ちた橋。
この橋は「さすらいの一匹狼」では金塊を積んだ馬車が渡り、「オニオン流れ者」ではタマネギを満載した馬車が渡りました。
また、「続・夕陽のガンマン」では、吊り橋が架けられ、砂漠を命からがら渡ってきたトゥコが渡りました。
実際は、かなり浅い谷間です
1996年 夏 / 続・夕陽のガンマン Il buono, il brutto, il cattivo
吊り橋を渡ったトゥコは、桶の水で口を湿らせた後、フラフラと銃砲店に向かうのでありました。
そんな町並みも、休日になればご覧のとおりの賑わいです。
こんな暑い荒野の真ん中に、どこからこれだけの人が集まってくるのか不思議な気持ちになります。
ミニ・ハリウッドのイラストマップ。
現在は近くに動物園もあるようです。
カルロ・シーミもびっくりですね。